『かすり傷も痛かった』 / 著者 箕輪 厚介
箕輪さんの『死ぬこと以外かすり傷』のアンサー本。
本の書き方が面白い。前作を丸々載せて赤入れをし、
本当に同じ人?と思うくらいの変わり様が面白いし、
『僕は「死ぬこと以外かすり傷」を直視できない』
成長思考が高い時は前作がオススメだけれど、少し疲れた時や、
前回響いた「今やれよ!」という言葉は、今回は「今やるな!」
『死ぬこと以外かすり傷』は仕事論で、『かすり傷も痛かった』
は人生論だと思ってほしい。
僕は面白いコンテンツを生み出したかったら安全安心な場所を持っ
てはいけないと半ば強迫観念のように思っていた。 しかし人に見せないだけで戦う人はみな安全安心な場所を持ってい たのだ。
数百万するディナーを食べたり、
めちゃくちゃ綺麗な女優を見ても「ああ、こんなものか」 と思うことも多い。分不相応な幸福は消化できない。 幸せを感じるために必要なのは、 自分の生活レベルを上げることではない。
「奴隷の幸福」:
人間は何かやるべきことを上から強制されたほうが案外幸せで、 何もかも自由にしていいと言われると途端に迷子になってしまうと いうような意味だ。
意識高い飲み会に行くと必ず言われる一言。
「今何やってるんですか?」「次何するんですか?」
次何するんですかハラスメント。「ツギハラ」。
目的もなく意味すらない
AIが人間の機能性をほとんど代替するようになると、
人間のやるべきことは「役に立つ」から「意味がある」に移り、 さらに「意味すらない」ものへ変わっていくのだ。
人間は暇と退屈に耐えられないがゆえに競争をする。その結果、
これほどまでに社会を発展させてきた。 その性質が間違った方向に行くと、過労死するまで働いたり、 戦争するまで争ったりしてしまう。 何かを突き詰めずにはいられない何とも切ない生き物なのだ。
個人的にあとがきの「おわりに」が良かったので、
きっとこれからも、かすり傷を負い、
そのたびに自分の過去の生き方に赤字を入れていくのだと思う。 かすり傷のまま生きていく。
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